「点検させて」はただの口実 点検商法

在宅時間が長い高齢者を狙う、悪質な「訪問販売」。
なかでも、高齢者が抱える不安をあおりたてる「点検商法」は、被害件数も被害額も多くなっており深刻です。

多くの高齢者が訪問販売のトラブルに巻き込まれてしまうのは、高齢者は昼間家にいることが多いことと関係しています。
高齢者だけの世帯も増えてますし、家族と暮らしていても昼間は一人でいることが多いため、悪質業者のターゲットになりやすいのです。

さらに高齢者は律儀な人が多いため、ドアを開けずにそのまま追い返すことがなかなかできません。
知らない相手でも玄関に入れ、「せっかく来てくれたのだから」と話にひととおり耳を傾けるなど、きちんと対応しようとするため、業者のたくみな話術にのせられてしまうおそれがあるのです。
すぐに契約しない、不要なものは「いらない。帰ってください」とはっきり言う強い気持ちが大切です。

無料点検の後には、数十万円の契約が待っている

訪問販売のなかでも、相談件数が多く問題なのが、「点検商法」です。
「今日は偶然、この近所を点検に来ました。今ならお宅も無料で点検しますよ」

こんなさりげない言い方で、悪徳商法業者は近づいてきます。
商品を売りつける目的を隠していますから、「ただで見てもらえるならいいか…」と油断して、家に入れてしまうケースが少なくありません。

しかし、一度話を聞いて点検させたりしてしまうと、どんどん悪徳業者の術中に引き込まれてしまいがちです。
悪徳業者がいう、「無料」はあくまで「点検」としてのみ。
しかも、その点検は商品を売りつけるための口実ですから、ウソの点検結果があらかじめ用意されていたりもします。

これまでの相談事例から「点検商法」の特徴を挙げると、契約の当事者になっている年代は60代~80代のマイホームを所有する高齢者というケースが最も多くなっています。
さらに、平均契約金額は60万円と高額で、悪徳商法被害解決センターに相談が持ち込まれた時点で、すでに平均40万円を支払ってしまっています。
ほかの悪徳商法でも同じですが、悪徳業者にお金を支払ってしまうと取り返すのは、弁護士や司法書士から請求をかけないと困難です。
十分に注意してください。

点検結果は不安を煽るための小道具

もし自分だったら、突然やって来た業者に対し、その場で数十万円もの高額な契約を結んだりしないだろうと、思う人もいるかもしれません。
しかし、毎年これだけたくさんの相談が寄せられていることを見てもわかるとおり、誰もが被害にあう危険性があるのです。

なぜなら、点検商法は「不安を煽る」商法だからです。

人は、「この商品はこんなにすばらしいものですよ」とすすめられても、そうそう簡単には財布のひもを緩めません。
「物は確かによくても、値段が高すぎる」などと、冷静に判断することができるものです。

ところが点検商法では、驚くような点検結果を見せて「このまま放っておくと家が腐りますよ!」「こんなにひどいなんて…このままじゃ大変な病気になりますよ」などと事実と異なることまで言い立てて、私たちの不安を煽り続けます。
そして気が動転し、冷静な判断ができないような状態を作りだして、一気に契約まで結びつけてしまうのです。

「名乗らない」「販売であることを言わない」のは法律違反

「家を失う」と不安にさせる点検商法には、ほかにも「下水道の排水点検です」と訪問し、下水道の清掃や修理を契約させるものや、「配管の水漏れ点検」といつわり、修繕や塗装工事を契約させるものなどもあります。

「換気の点検」と言って訪問し、汚れているからとフィルターを買わせるのも典型的な手口。
さらには「フィルターなしで使い続けたため、油で壁が汚れている」と言われて、壁のコーティング工事まで契約させだれてしまったケースもあります。

そもそも、法律(特定商取引に関する法律)では、訪問販売をするときは、勧誘に先立って、消費者に対し、①事業者の氏名、名称、②契約の勧誘をする目的であること、③勧誘する商品やサービス等の種類、を明らかにしなければならないとしています。
たとえば、訪問したらまず「私は○○会社の者ですが、○○の販売に来ました」などと告げる義務があるのです。
つまり、「○○の点検にきました」とだけしか言わずに訪問した業者が、商品の販売をしようとしたとすれば、その時点で、「法律をきちんと守らない業者」であるとわかるのです。

工事終了後でもクーリング・オフができる

点検商法などの訪問販売で契約した商品やサービスは、クーリング・オフが適用できます。
工事の契約をした場合、たとえば工事の開始後や、工事がすでに終わっていてもクーリング・オフの期間内であれば解約できますし、元の状態に戻すよう業者に請求することもできます。

「もう着工したのだから、今さら解約はできない」と言い逃れ、被害者を「泣き寝入りするしかない」との心理状態に追い詰めようとする悪徳業者もあるかもしれませんが、その言葉を鵜呑みにしないことです。